ブラウン管の中の彼女
「お前も直に分かる」
「樺摘さんのやってることはメチャクチャだよ!!肝心な僕の話を全然聞いてないじゃないか!!」
「聞かなくても分かる」
「分かってない!!」
「ガキだから目先のことにとらわれてるんだよ!!」
「とらわれてない!!」
この不毛な言い争いに終着駅がないのかと思ったとき、突然腹部に激痛が走った。
「う…っ―!!」
あまりの痛みに眉間にしわがよる。
「このうすらとんかちが―――っ!!」
俺の体は実早による飛び蹴りで吹っ飛んでいた。
「み…実早ちゃん…?」
俺と祐一郎が呆気に取られていると実早が胸倉を掴み、体を無理やり起こさせた。
「あんたが一番祐ちゃんの気持ちを利用してんのよ!!このうすらとんかちっ!!」
うすらとんかちって…。
いまどきの子供は使わないぞ、おい。