ブラウン管の中の彼女
「祐ちゃんはあんたの気持ちも考えてずっと悩んでたんだから!!実早とあんたの間でずっと…っ…悩んでたんだからぁ!!」
実早の顔が歪む。
「実早ちゃん、スカートで飛び蹴りはやめようね?」
祐一郎は俺の体にのしかかっていた実早のわきに腕を通しズルズルと引きずった。
「っ…だってぇ…」
そしてグスンと泣き出す実早の頭を撫でる。
その光景に俺は違和感を感じた。
……何か重要なことを見落としていないか?
俺は一方的に実早が気持ちを押し付けてると思ってた。
でも今、目の前にいるのは…
普通の恋人同士にしか見えない――…。
「分かったか?」
頭上から聞きなれた声がした。