ブラウン管の中の彼女
「それで律儀にも祐が代わりにやってんのか?」
「……律儀で悪かったな」
僕は太一の方を向かずにがんばってペンを走らせ続ける。
「ったく!!誰に頼まれたんだ?俺が代わりに文句言ってきてやる!!」
このままだと本当に文句を言いかねない勢いだったので僕は止めることにした。
「いいよ。はっきり断らなかった僕が悪いんだ」
「お前、ほんっとにお人好しだな!!」
太一は持っていたコーヒー牛乳のパックを握りつぶした。
「いいか!?お前みたいなお人好しはこの世間の荒波じゃ生きて行けないぜ!?」
「お気遣いドーモ」
太一はしぶとく生き残りそうな感じだよね。
「お前、何で自分のことにはそんなに冷めるんだよおぉぉぉ――っ!!」
太一は僕の肩をつかみガクガクと揺らした。
冷めてる自覚はないんだけど…。