ブラウン管の中の彼女
「こらっ!!太一!!」
パコンと小気味良い音が教室に響き渡った。
「祐君をいじめちゃだめでしょ!!」
プリントの束を筒状に丸めたものを持った灘さんが腰に手を当て立っていた。
「いじめてねえよ!!」
「……みーちゃんに言いつけてやる」
「依夜ちゃん!!それはやめてくれ!!」
頼む!!と両手を合わせ懇願する太一に灘さんは容赦なかった。
「……太一なんかもう一回みーちゃんに飛び蹴りされればいい」
太一はこの世の終わりと言わんばかりに叫んでいた。
もう一回って…。
飛び蹴りされたの…?
「祐君。これ、うちのクラスの分の集計結果も合わせてきたんだけど…ってなんだか忙しそうね」
灘さんは僕の机の上に広げられた資料の山を見ていた。