ブラウン管の中の彼女
「ああ?これね…。少し頼まれごとを…」
灘さんは眉をひそめた。
「それにしたって普通の量じゃないわ。誰に頼まれたの?」
「えっと…確か…」
クラスメートの顔を思い浮かべながらその名を告げると今度は太一がぶすっと不機嫌になった。
「依夜には言うのに何で俺には言わないんだよ!!」
「太一は黙ってて」
可哀想に…。
バッサリと切り捨てられた太一は教室の隅っこでいじけだした。
灘さんは面倒くさそうにため息をつくと太一に声をかけた。
「た~いち!!おいで?」
現金な奴…。
太一は見事復活し、灘さんの隣に納まっていた。