ブラウン管の中の彼女
「どうしたの?」
実を言うと塚原さんと面と向かって話すのは初めてだ。
「……実早……うるさい…」
単語しか並べない塚原さんからその意思を汲み取るのに結構な時間がかかった。
えっと…。
「それは実早ちゃんが僕がいなくてうるさいからどうにかしろってこと…?」
塚原さんは大きく頷いた。
………謎だ。
実早ちゃんがお喋り好きだから塚原さんが聞き手にまわってると思っていたが、どうやら違うらしい。
「全部運び終わるまで大人しく待っててって実早ちゃんに伝えてくれない?」
僕はそう言うと再び本を両手に抱えた。
塚原さんは黙ってスッと僕の手から一山、本を取り上げた。