ブラウン管の中の彼女



「あのね…祐ちゃん…」


実早ちゃんは神妙な面持ちで僕の元へとやってきた。





「実早…我慢する…学校では話すの我慢する…」




「へっ?」


ソファーに座っていた僕は思わず持っていた文庫本を落としそうになった。


「今日、仲紗に言われたの。祐ちゃんにだって事情があるんだから実早のワガママで困らせたらいけないって…」


実早ちゃんはすっかりしおらしくなっていた。


塚原さん、気を使ってくれたのかな…?


心当たりはある。


あの後、教室に戻ると待ち構えていた実早ちゃんに即行で捕まった。


引き剥がそうとしても剥がれない実早ちゃんをもちろん塚原さんも目撃している。



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