ブラウン管の中の彼女
「あれ…」
誰もいない…。
実早ちゃんからのお呼び出しで生物室に来たものの、そこには誰もいなかった。
「だ~れだ♪」
背中から首を引っ張られる。
こんなことするのはひとりしかいない。
「実早ちゃん…!!離してっ…!!」
苦しいっ…!!
僕の願いが届き、直ぐに腕が剥がされた。
どこかに隠れていたのか実早ちゃんの制服には綿ぼこりがついていた。
「実早ね?もう我慢できないの…」
モジモジと指をいじる。
「1週間も我慢したんだからもういいでしょ?」
期待のこもった眼差しに僕は申し訳なくなる。
「ごめんね、もうちょっとだけ我慢して?」
そう言うと実早ちゃんは顔をぷぅっと膨らませた。