ブラウン管の中の彼女



「実早…怒ってるんだから…」


生物室の床は冷たかった。


それとは反対に実早ちゃんの小さな背中は温かかった。


「うん」


背中合わせに床に座る僕たちはお互いの表情は見えない。


それでも実早ちゃんが怒ってるのは感じ取れた。


「どうして…言ってくれなかったの…?」


「僕が嫌がらせされてるって知ったら実早ちゃん怒るだろ?」


正義感の強い実早ちゃんのことだからすぐわかる。


「実早会の人たちはもう一人の僕なんだ…」


必死で追いかけるその姿はまるで――…。


数ヶ月前の僕だった。




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