ブラウン管の中の彼女
「実早、顔洗ってくる~」
クルッと回転してこちらに向かってくる。
僕は呆れてものが言えなくなりそうだった。
「実早ちゃん…嘘泣きなんてずるいよ…」
「あっちだって嘘ついたんだからお・あ・い・こ♪」
そう…僕からはばっちり見えていたのだ。
左手に隠された目薬が…。
「こんなもので騙されるなんてまだまだ修行が足りないのよ~♪」
実早ちゃんは目薬をポケットにしまった。
「これで祐ちゃんと実早の邪魔をするものはいなくなったわっ!!」
即座に腕に絡みつく。
「今からたぁくさん!!話せるね!!」
実早ちゃんには敵わないなっとあらためて思った――…。