ブラウン管の中の彼女
FIFTH*STEP
1
「絶対に、い・や!!」
そう言って仁王立ちするママからプイッと顔を背ける。
「実早、ワガママもいい加減にしなさい」
対するママも怒りを通り越して呆れかえっていた。
「絶対絶対ぜええったい!!い・や!!」
「実早、これはビジネスなの。嫌がってたって決まったものは仕方がないでしょう?」
何度この台詞が繰り返されただろうか?
実早だってわかってるもん…それくらい!!
こういう職業だもん。
時には嫌な仕事だって引き受けなきゃならないことくらいわかってる。
でも…。
「キスシーンなんて嫌―――っ!!」
実早の叫び声にママは耳を塞いだ。