ブラウン管の中の彼女


「みーちゃん今、あたしの乙女心を疑ってるでしょ?」


片目を吊り上げたいーちゃんはジイイッと実早を観察していた。


「……えへっ★」


なんでわかったんだろう…。


誤魔化すように手をコツンと頭に当てるといーちゃんからきついお叱りが…。


「えへっ★じゃないよ!!」


失礼なっ!!と額に強烈なデコピンをお見舞いされた。


バチンッ!!


ド派手な音が音に劣らず、デコピンはものすんごい威力だった。


「っ~~!!」


痛いっ!!


実早は額を押さえながら悶えた。


「さあっ!!仲紗ちゃん、恩知らずなみーちゃんは放っておいて帰ろうか~」


「……ん……」


いーちゃんの足取りは軽やかだった。


「まっ…待ってよぉ…」


涙目になって追いかけると仲紗が立ち止まって手招きをしてくれた―…。


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