ブラウン管の中の彼女
「祐くんは何があっても実早を優先してくれるから」
実香さんは春風を思わせるような優しい笑みを浮かべて僕を見つめた。
「何が実早のためになるのかをキチンと考えて行動してくれる。それはただ好きっていう気持ちだけじゃできることじゃないわ」
信号が青に変わり、実香さんは再びアクセルを踏み出した。
「無鉄砲な実早には祐くんみたいな人が必要なのよ」
また、景色が流れ始めた。
そして僕の心の中にあった汚い部分も少しだけ外に流れ出したように思えた。
「さあこの話は終わり!!これから祐くんには大変身してもらわないといけないしね♪」
車は丁度、撮影現場の駐車場に入ったところだった――…。