ブラウン管の中の彼女





最近、ますます分からなくなってきた。





「実早さ~ん、こっちに視線くださ~い」


「は~い」


カメラマンの指示に従うように、実早はそちらに顔を向けた。


でも頭の中では全く別のことを考えていた。


どうして実早はここにいるんだろう…?


楽しくないのに笑顔を振りまくようになったのはいつから?


祐ちゃんとのCM撮影はあんなに楽しかったのに…。


ああやっぱりだめ。


実早は祐ちゃんがいないと生きていけない。


仕事中だと分かっていながら実早は祐ちゃんに会いたくなってきた――…。



< 259 / 280 >

この作品をシェア

pagetop