ブラウン管の中の彼女



それから人目を忍んで祐ちゃんが会いに来てくれたのは直ぐのことだった。


今日の祐ちゃんは“ICHI”じゃなかった。


その姿が懐かしく感じられる。


「祐ちゃ~ん…」


久し振りに会う祐ちゃんに涙が出てしまいそうだった。


「どうしたの?」


会うなり祐ちゃんの胸に飛び込んできた実早を不思議そうに受け止める。


「会いたかったよぉ…」


「ごめんね。僕もなんだか忙しくて…」


うん、確かに。祐ちゃんのスケジュールは実早といい勝負だった。


「でも、それも終わりかな。実香さんがもうそろそろ潮時じゃないかって」


「ホント?」


実早はハッと顔を上げた。


「うん。ボロが出る前にこの辺で潔く身を引いた方がいいって」


祐ちゃんは…戻って行っちゃうの…?



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