ブラウン管の中の彼女
祐ちゃんの言うことには何の根拠もない。
それでも実早にとって祐ちゃんの言葉は絶対だった。
………この時の実早は自分のことだけで精一杯だった。
「あれ?祐ちゃん少し痩せた…?」
顔だけを向ける。
感触が違う気がする…。
「気のせいじゃない?」
祐ちゃんは曖昧に答えるだけだった。
髪を梳く指がすごく気持ちよくて直ぐに実早はそのことを忘れてしまった―…。
もし実早がもっと大人だったら早く気づいてあげられたはずなのに…。