ブラウン管の中の彼女


病室に戻ってくると祐ちゃんが起きていて、笑顔で迎えてくれた。


「ごめん!!ひどい状態だったでしょ?最近掃除もさぼってたから…」


なんで祐ちゃんが謝るの…?


その優しさが実早を更に打ちのめす。


「…実早のっ…せい…で…っ…」


祐ちゃんは泣き出した実早に目を丸くした。


「ごめんなさい…っ…」


実早は謝ることしか出来なかった。


「実早ちゃん…泣かないで…」


祐ちゃんは実早の顔を両手で包み込んだ。


「僕が貧弱だからいけないんだ」


「違う…っ…」


いつだったか樺摘が言ってた。


実早は祐ちゃんを利用してるって…。


ようやくその意味が分かった気がする。



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