ブラウン管の中の彼女
「それは…困ったなあ…」
祐ちゃんは頭を掻いた。
え?
「なんでえ!?」
実早は思わずベッドに乗り上げて祐ちゃんの胸倉を掴んだ。
実早の決意は困ったものなの!?
「だってさ?甘やかす人がいないと寂しいじゃん」
祐ちゃんは実早の頬をゆっくり撫でた。
その瞳の奥にあるのは…途方もない愛情だった。
胸倉を掴んでいた手からスルリと力が抜ける。
「ねえ…実早ちゃん?」
カーテンがふわりと揺れた―…。
「僕ね?ずっとブラウン管の中の実早ちゃんと幼なじみの実早ちゃんは別の人だって思ってきたんだ…」
祐ちゃんと実早の距離を埋めるかのように風が…通り抜ける。