ブラウン管の中の彼女
「でも違った。上手く言えないんだけど…どちらも相互に作用してそれが“実早ちゃん”なんだ」
実早は祐ちゃんの言うことを黙って聞いていることしか出来なかった。
「普段は甘えん坊でテレビでは真剣な顔してる、どっちも実早ちゃん」
祐ちゃんはコツンとおでこを合わせた。
「僕が大好きなのは光り輝いてる実早ちゃんなんだ。だからその輝きが曇らないようにするのが僕の役目だって思ってる」
何で祐ちゃんはこんなに実早に甘いんだろう…?
実早は震える手で祐ちゃんの頬に触れた。
温かいぬくもりは祐ちゃんの人柄を表しているようだった。
「だから…頼らないなんて言わないで?僕は甘えん坊な実早ちゃんだって大好きなんだから…」
ああ…もう涙が止まらない――…。
祐ちゃんはこんな実早でさえいいって言ってくれる。