ブラウン管の中の彼女



僕に約二ヶ月ぶりの日常が戻ってきた。


「あ~あ!!退屈だな…街にはあのくそ女の写真が溢れかえってるしよぉ!!」


太一は2回目の飛び蹴りを食らって以来、実早を目の敵みたいに扱ってる。


……自業自得。


僕はそう思ってるけどね。


どうしても本人は納得いかないらしい。


「っつーか祐はあれでよかったのか?せっかく人気者になったのに…」


新聞にはICHIの芸能界引退のトップニュース。


「いいんだよ。僕にはあの世界はどうも肌が合わないみたいだし」


惜しいとも思わない。


僕には平凡で刺激の少ない普通の生活が合ってる。


「俺も1度でいいからそんな台詞言ってみてぇ…」


太一は口をへの字に曲げた。



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