ブラウン管の中の彼女



「…帰るっ…」


実早は立ち上がると一目散に玄関へと向かった。


バカ…


祐ちゃんのバカ…!!


「実早ちゃん!?」


祐ちゃんは慌てて階段を降りてきた。


「お邪魔しました!!」


祐ちゃんの目の前で扉が派手な音をたてて閉まる。


夜空にくっきりでたお月様が憎らしい。


「…祐ちゃんのばかあ…」


とめどなく溢れ出る涙。


思い出すのは幼い日の実早と祐ちゃん。


“みはやちゃんがだあいすきだよ!!”


“みはやもゆうちゃんがだあいすき!!”


あの頃は想いが通っていたのにいつからすれ違ったんだろう…?


涙が更にポロポロと溢れ出す。


祐ちゃんの気を引きたくてしてたこと…

伝わってなかったの…?


< 37 / 280 >

この作品をシェア

pagetop