ブラウン管の中の彼女
「…帰るっ…」
実早は立ち上がると一目散に玄関へと向かった。
バカ…
祐ちゃんのバカ…!!
「実早ちゃん!?」
祐ちゃんは慌てて階段を降りてきた。
「お邪魔しました!!」
祐ちゃんの目の前で扉が派手な音をたてて閉まる。
夜空にくっきりでたお月様が憎らしい。
「…祐ちゃんのばかあ…」
とめどなく溢れ出る涙。
思い出すのは幼い日の実早と祐ちゃん。
“みはやちゃんがだあいすきだよ!!”
“みはやもゆうちゃんがだあいすき!!”
あの頃は想いが通っていたのにいつからすれ違ったんだろう…?
涙が更にポロポロと溢れ出す。
祐ちゃんの気を引きたくてしてたこと…
伝わってなかったの…?