ブラウン管の中の彼女
「祐!!」
「いっ!!…っ…」
思いもよらぬ衝撃に僕は頭を両手でおさえた。
「おっ…やっと戻ってきたか…」
太一の拳は無防備だった僕の頭にヒットした。
「痛いじゃないか!!」
めったに声を荒げない僕ですら叫びだすほどの痛み。
「祐が戻ってこないからだろ~♪」
太一は満足したように笑った。
「また例の“ミハヤ”ちゃんだろ?」
太一はニヤッと笑った。
「うぐっ…」
図星を刺され、二の句が告げなくなる。
「お前もいい加減、その幼なじみに振り回されるのはやめろよな~」
太一にしては珍しく理にかなったことを言っていた。
「僕だって分かってるよ…」
さらに大きなため息が出る。