ブラウン管の中の彼女


「名前が一緒だなんてすごい偶然だよねっ!?」


愛想笑いが引きつっている気がする。


太一には悪いけど実早ちゃんと僕が幼なじみだってバレるわけにはいかない。


人の噂なんてそれこそあっという間に広がる。


昔、軽々しくそのことを口にしたら隣の家に住んでるとわかって押しかけられたことがある。


実早ちゃんは既に顔が知られてたし、一時的に避難しなくてはならなくなってしまった。


タクシーに乗り込む後ろ姿を見て思った―…。


実早ちゃんに迷惑をかけるようなことはもう絶対にしない…。


僕に出来ることなんてそれしかないから。


幼なじみとして、迷惑をかけるわけにはいかない…。


あの時の苦い経験を思い出していると、携帯が鳴った。



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