ブラウン管の中の彼女
芸能人である実早ちゃんの姿を見たことと
実早ちゃんの好きな人を見たことで
僕はすごく混乱していた。
来るんじゃなかった―…。
僕は静かにスタジオから出た。
ホントに僕…今まで何してたんだろ…?
廊下には誰もいなくて、僕のため息は誰にも聞かれなかった。
封印するって決めたくせに…っ…。
なんでこんなに悲しいんだよ―…。
結局、無駄な努力だった。
手が届かないから諦めようとしていたのに…。
いざその状況に追い込まれたら捨てられないなんて―――…。
僕達は幼なじみでいた期間が長すぎたんだ。
漸くそのことに思い当たる。
捨てられるくらいならとっくの昔に捨ててた。