ブラウン管の中の彼女


芸能人である実早ちゃんの姿を見たことと

実早ちゃんの好きな人を見たことで

僕はすごく混乱していた。


来るんじゃなかった―…。


僕は静かにスタジオから出た。


ホントに僕…今まで何してたんだろ…?


廊下には誰もいなくて、僕のため息は誰にも聞かれなかった。


封印するって決めたくせに…っ…。


なんでこんなに悲しいんだよ―…。


結局、無駄な努力だった。


手が届かないから諦めようとしていたのに…。


いざその状況に追い込まれたら捨てられないなんて―――…。


僕達は幼なじみでいた期間が長すぎたんだ。


漸くそのことに思い当たる。


捨てられるくらいならとっくの昔に捨ててた。



< 61 / 280 >

この作品をシェア

pagetop