ブラウン管の中の彼女
「本日のゲストは今、テレビに映画に大活躍の福永実早さんで~す!!」
司会者のアナウンスとともに実早ちゃんが画面に現れた――…。
「ハアハア…ま…間に合った…」
学校から家までの道のりを走ってきた僕は汗だくでテレビのスイッチをいれた。
どうやら番組はまだ始まったばかりのようだ。
「今度のドラマでは体当たりの演技を見せてくれるんですよね~?」
「はいっ!!」
司会者の話に元気よく答える実早ちゃん。
僕の存在が実早ちゃんに何の影響も与えていないことは明白だった。
「……寂しいな」
ポツリとでた本音。
僕は寂しかったんだ――…。
実早ちゃんのわがままに振り回されるフリをして…。
ホントは自分にかまってくれる実早ちゃんを独り占めしたかったんだ。