ブラウン管の中の彼女
「どんなに迫ったって気づいてくれなかったじゃない!!実早が今まで…っ…どんな気持ちで…っ!!」
実早ちゃんは手の甲で涙を拭った。
見ている僕が切なくなるくらい実早ちゃんの顔が歪む。
「もう…どうしたらいいのよ…っ……」
実早ちゃんは手を顔にあてそのまま俯いてしまった。
「泣か…ないで…」
届かないとわかっていても手を伸ばさずにはいられなかった。
僕の手はブラウン管の向こうで泣いている実早ちゃんに届く前に画面にぶつかってしまった。
「祐…ちゃん…」
実早ちゃんが呼んでる…。
「実早は祐ちゃんのことが…」
やっと言える――…。
「「好きだよ」」
実早ちゃんの気持ちと僕の気持ちは重なった…。