ブラウン管の中の彼女
声に出してみると自分の気持ちをはっきり自覚することが出来た。
「実早ちゃん…好きだよ…」
僕はテレビにすがりついた。
芸能人だろうが…。
幼なじみであろうが…。
たとえ僕と実早ちゃんが釣り合わなくたって…。
僕は実早ちゃんが好きだ…。
「好きだよ…」
積もりに積もった想いは“好きだ”という言葉に変わった。
「い、いい以上で番組を終了致しますっ!!」
司会者の人はまだ泣いている実早ちゃんの前に立ちはだかって体裁を繕っていた。
すぐに番組が切り替わり、変哲のないニュースが流れ始める。
僕はテレビを消した。
会いたい…。
実早ちゃんに会いに行こう…。
ブラウン管が邪魔なら直接会いに行けばいい―…。
僕は実早ちゃんのもとへと走り出した――…。