ブラウン管の中の彼女



「おばさん?」


僕はポカーンと口を開けた。


スーツに身を包んだ30代後半の女性は般若のような恐ろしい顔になった。


「祐くん?おばさんじゃなくて実香(ミカ)さんでしょ?」


「はい…実香さん。」


さすが実早ちゃんのお母さん…。


迫力が違う…。


僕は頬をひきつらせながら誠心誠意謝った。


「警備員さん?その子を離していただけません?私の知り合いですの」


実香さんが微笑むと警備員さんは骨抜きになる。


「さあ行きましょうか?実早に会いに来たんでしょ?」


実香さんはホホホと楽しそうに笑った。


恐るべし実香さん…。


さすが実早ちゃんの母親だけある…。


2人の血の繋がりを感じずにはいられなかった。



< 74 / 280 >

この作品をシェア

pagetop