ブラウン管の中の彼女
「おばさん?」
僕はポカーンと口を開けた。
スーツに身を包んだ30代後半の女性は般若のような恐ろしい顔になった。
「祐くん?おばさんじゃなくて実香(ミカ)さんでしょ?」
「はい…実香さん。」
さすが実早ちゃんのお母さん…。
迫力が違う…。
僕は頬をひきつらせながら誠心誠意謝った。
「警備員さん?その子を離していただけません?私の知り合いですの」
実香さんが微笑むと警備員さんは骨抜きになる。
「さあ行きましょうか?実早に会いに来たんでしょ?」
実香さんはホホホと楽しそうに笑った。
恐るべし実香さん…。
さすが実早ちゃんの母親だけある…。
2人の血の繋がりを感じずにはいられなかった。