ブラウン管の中の彼女
「し"ゃち"ょう"~!!」
実早ちゃんがいるという控え室の前までくると香川さんが実香さんにすりよってきた。
「また泣いてたの?よしよし♪」
まるであやすように頭を撫でる実香さん。
「み"はや"ざんがどじごもっだぎりででぎでくれないんですぅ~!!」
実香さんが手渡したハンカチを両手で握りしめながら泣き叫ぶ。
「実早ちゃん…閉じこもってるんですか…?」
「グスッ…はい…」
涙を拭う香川さんの目には僕がなぜここにいるのかという疑問の色が映っていた。
「……香川ちゃん、今から謝罪まわりに行きましょうか。」
「んにゃ?っへ!?社長~?!」
香川さんは実香さんに無理矢理連れて行かれた。
「祐くん~がんばってね~♪」
ニヤッと不敵に笑った実香さんは最後に大きく手を振った…。
がんばってねって…
実香さん、楽しんでる…?
まあ実香さんがいなかったら中に入ることも出来なかったから感謝かな…?
僕は大きく息を吸うと実早ちゃんの控え室の扉の前に立った。