ブラウン管の中の彼女
「祐ちゃ~ん!!」
実早ちゃんは嬉しそうに僕にしがみついた。
可愛いなあ…。
不思議な気持ちだ。
ブラウン管の向こうにいた彼女は今は僕だけの実早ちゃんだ――…。
「祐ちゃん…」
実早ちゃんは目をウルウルとさせたまま僕を見上げた。
ヤバい…。
こんなに近くで見つめられるなんて久しぶり過ぎて心臓がヤバい。
そして実早ちゃん次の言葉に僕の心臓は本格的に治療が必要となった。
「キスして…?」
僕は手で顔を覆った。
キス!?
キスって“あの”キスだよね!?
実早ちゃん混乱状態の僕にさらに追い討ちをかける。
「だめぇ…?」
「…っ…!!」
実早ちゃんのおねだりは迷う僕の理性をふっ飛ばしかけた。