ブラウン管の中の彼女
実早は唇に手をあてた。
祐ちゃんは知らないでしょ…?
“キスして…”そう言うと困ったようにかわされる。
その度に泣き出しそうなくらい悲しくなること。
知らないでしょう…?
「みはやちゃ~ん!!早く起きてきてよ~」
ダイニングから祐ちゃんの声が聞こえて、慌てて涙を拭った。
「いま行く―!!」
祐ちゃんにみっともない顔は見せたくない。
実早はパジャマから制服に着替えると一階に降りた――…。
「あれっ?祐ちゃんもう行くの~?」
実早はお手製のオムレツを頬張りながら、荷物を持つ祐ちゃんを見た。
祐ちゃんの学校は歩いて10分。
現在の時刻は6時。
学校に行くには早すぎる。