ブラウン管の中の彼女


「灘(ナダ)さん、どうしたの?」


祐ちゃんは女の子の方を向くと不思議そうに首を傾げた。


いやん、可愛い!!


ってそーじゃなくて!!


「ごめんね?間宮君にうっかり渡し忘れちゃって…」


その女の子は祐ちゃんにプリントを数枚渡し、申し訳なさそうに手を合わせた。


その子誰…?


実早がショックを受けている間に祐ちゃんがこちらに近づいてきた。


やばいっ!!


実早はとっさに祐ちゃんから身を隠した。


祐ちゃんは実早の横を通り過ぎ、家の方向へと消えていった――…。


祐ちゃん…。


実早はその場に崩れ落ちた。


その子は誰なの…?


笑いあう2人の様子が頭を離れない。


ねえ…?


祐ちゃんは実早のこと…ちゃんと好き…?

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