誘惑Baby


「なに、別れ話…?」


家の鍵を閉めて、歩き出す。


『ちっちがうよ!!そんなんじゃない!!』


噛んでるし…。


『……、あとで、話す…から…』

携帯越しに、優子がどんな表情をしてるのか想像できるようで。


早く会って、抱きしめてやりたくなった。

「わかったよ。ちゃんと聞くから。」


『ありがと…。じゃあ、待ってるね!』

無理をしたような声が聞こえた後は、機会音が響いた。


俺は車に乗り込むと、大学に向かった。



一年前までは、車で大学まで通っていたのだが、優子と付き合い初めてからは電車で行くようにしている。


少しでも、優子と一緒に居たいから。

優子の隣で笑ってたいから。


なんて、絶対口が裂けても言わないけど。




…――――――


しばらくして、大学の駐車場に着く。

だが、優子らしき人は見当たらない。


携帯を鳴らしてみても、一向にでる気配がない。

俺は、嫌な予感がして車から降りて探した。


「どこ行ったんだよっ…」

大学の周りを一周してみたが、見当たらない。

「優……」

ブーブー…

ふいに携帯が震える。

―着信 優子―

「ゆ、優子?!」

『よおへ……』


なにか、あったのか……?

背中に嫌な汗が流れる。

「お前っ今どこ…?!」

『そっプツ……プー…プー…』

「はっ!?ちょっ?!優子!!」

そ……?

「んだよ、そ…って…」

心拍数がすごい。

優子は、今どうなってんだ…?

考えろ、考えろ…。



頭が真っ白になりそうなのを、必死に冷静さを保とうとする。



その時…



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