誘惑Baby
「優子、帰ろ」
講義が終わり、いつものベンチにいる優子に話しかける。
「あっうっうううん!!」
なんだ、異常なまでの噛み方してんぞ?
一緒に居た坂井さんはニヤニヤしている。
なんか言われたんだな…。
やれやれ、と思いつつ優子の手を取ると歩き出した。
「優子ー?明日、クリスマスだけどさ」
「ああっあのさ!!」
急に歩くのを止める優子。
「??」
「今日っ、陽平んち泊まっていいかな?!」
「ん……、てっえ!?」
顔を真っ赤にして俯く優子は目をぎゅっとつむっていた。
「あー、別にいいけど…どした?」
「えっえ?!泊まりたい…だけ…」
しゅん、としたように俺を見つめる。
あ、あれー?
俺なんか、いかんこと言ったのかも…。
「んじゃあ、洋服とか…俺んちに置いてあるやつで大丈夫?」
「うんっ」
「DVDでも借りてくか!」
にこって笑うと、優子もふんわり笑った。