誘惑Baby

――――…


「ここで、大丈夫」


優子の住んでいるマンションの目の前まで来た。

繋いでいた手をほどいて、頭を撫でた。


「ちゃんと、戸締まりしろよ。」

「うん」

「夜はあんまり外、出んなよ」

「うん!」

「なんかあったら、電話して」

「ふふっ」

「おい…」

心配して言ってる俺を、可笑しそうに笑う。


「ありがとう、ありがとう陽平」


ふんわり、優子は俺に笑いかけた。



簡単に、俺の心を奪ってしまうキミはずるい。

本当に、ずるい。


「ん、じゃあな」


ぐしゃぐしゃっと、頭を撫でてから来た道を帰ろうとした。


その時…



< 44 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop