誘惑Baby
「さむ…」
なんで、教室なのにこんな寒いんだよ…。
俺は、身を縮ませながら適当に席を見つけて座った。
「置いてくなよ!!」
「はいはい」
隣に一樹が座るのは、もう当たり前になっていた。
適当に、一樹と話して授業が始まるまでの時間をつぶしていた。
すると、
「す、杉浦くんっ」
と、俺を呼ぶ声がした。
「はい?」
その声の主は、女の子で、よく前に座ったりしていた覚えがある人だった。
「あっあの、今日…時間ありますか…?」
頬を赤らめて、俯き気味に言うその姿は、少し優子を思い出させる。
「今日は、予定あるから…」
「あ……、じゃあ…えと…」
あー…、眠いなあ。
「明日は…!!」
「ん、わかった」
あ、あれ…。
俺、今わかったとか…
「ほ、ほんとですか?!ありがとうございます…」
と、言って足早に消えていった。
「陽平くん、あれはね、告白だね」
一樹が、顎の部分を触りながら言う。