誘惑Baby
「はあ…?」
「陽平はモテるなあ…、優子ちゃんとゆう彼女がいながら…」
「モテてないし、優子しか好きにならん」
シャーペンを出しながら、答える。
「おうおうっ。さようですか!」
「さよう、さよう」
ノートを準備しながら、適当に返事をしたことを酷く後悔した。
本当に、優子以外興味を持てないから…。
もし、告白だとしても本当に申し訳ない。
何があっても、その気持ちに応えることは出来ない。
本当に、自分でも恥ずかしいくらい…優子しか目に入らないんだ…。
「授業始めます」
先生の声が聞こえた途端、俺は集中した。
どちらかといえば、文系のこの大学で俺は結構真面目に授業を受けている。
こんなのでも、高校からこの大学に推薦で入れてもらえたから。
真面目に取り組んでいくと決めた。
優子も、すごく文系派で出会いも図書館だったし。
優子は、文章力あるんだよなあ。
初めて優子の書いた小説を読んだとき、なんか心ごと掴まれた気がした。
繊細で、柔らかくて、優しくて、それでいて伝えなければならないことは明確で、読み終えた後に和んでしまう。
読み終えたあと、正直な気持ちを優子に伝えたら、
『そんなことないよ…』
って、顔真っ赤にしてたなあ。
あん時から、絶対好きだったよなあ、俺。