誘惑Baby
ある日曜日
ある日曜日の、あるカップルの、ある事件。
「ばかっ!!!!陽平のばか!!!!!」
「ちょっ、ちょっと聞けって!!」
俺の手を振りほどいて、優子は階段を駆け下りていく。
事の発端は、ついさっき。
昼食を家で食べてる時のこと。
「痛っ!!」
食事をしていた優子が突然叫んだ。
「どした?」
「なんか足に刺さった」
椅子をずらし屈む優子は、その瞬間動きを止める。
「なんだった??」
「………」
返答のない優子に戸惑っていると、
「う、浮気者ー!!!!!」
「∑!?えっ?!いでっ!!」
急に叫んだかと思うと、俺の顔に何かが当たる。
痛さからして結構な硬さだったと…………、
「あ……」
零れた俺の声。
コロコロと転がっていたのは……、見覚えのある女ものの指輪。