誘惑Baby
嫉妬
「帰ろうぜー、陽平」
「おー」
講義を終え俺と一樹はいつものベンチに向かう。
「最近寒いよなあ…」
マフラーを口元まで上げる。
寒いのは苦手。
熱すぎるよりは、まあいいけれど。
「なあなあ、陽平」
「んー?」
突然止まる一樹に、俺は一歩進んでから振り返る。
「あれさあ……、優子ちゃんじゃん?」
優子…?
中庭に優子の後ろ姿が見える。
その前の、背の高い短髪の男も…。
少し話をしてるような雰囲気で、優子は頭をぺこっと下げると走っていった。
「告白だー、ありゃ」
あちゃーとゆうように頭を掻く一樹を横目に、俺はしばらくその場を見つめていた。