恋する手のひら
最悪の誕生日
「実果って、本当にどんなゲームも弱いよな。
つまんねーの」
隣であぐらを組んだタケルがぽつりとつぶやいた。
テレビ画面では、私が操作してるキャラのカートの脇を、タケルのカートが高速で駆け抜けていく。
あっという間の周回遅れ。
「私はタケルと違ってゲーマーじゃないもん」
私は頬を膨らませてコントローラーを放り出すと、私たちの後方でベッドにもたれながら雑誌をめくっていた秀平の隣に移動する。
何気なく覗き込んだ雑誌に載ってた、シルバーのネックレスに目が行った。
「これ、かわいー。
いいなー、欲しいなー」
ハート型のトップには、ピンク色の石が埋め込まれてておしゃれ。
別にねだったわけじゃなくて、感想を言っただけだけど、
「…実果」
秀平に名前を呼ばれて少しドキッとした。
もしかしてプレゼントしてくれたりして…。
そんな調子のいいことを想像したとき、
「顔近いんだけど」
秀平は少し困ったように言った。
何だ、期待して損しちゃった。
でも当たり前。
秀平は私の彼氏でも何でもないんだから。
「ごめん、ごめん」
私は照れ笑いしながら10センチくらい秀平から距離を取ったものの、でもまだ気になって横から雑誌を覗いてしまう。
相変わらずタケルはゲームに夢中で、電子音が部屋の中に響いている。
「実果…」
秀平がまた私の名前を呼んだ。
今度はそんなに近付いてなかったのにな、なんて思いながらおもむろに秀平の顔を見上げた瞬間。
秀平が私にキスをした。
つまんねーの」
隣であぐらを組んだタケルがぽつりとつぶやいた。
テレビ画面では、私が操作してるキャラのカートの脇を、タケルのカートが高速で駆け抜けていく。
あっという間の周回遅れ。
「私はタケルと違ってゲーマーじゃないもん」
私は頬を膨らませてコントローラーを放り出すと、私たちの後方でベッドにもたれながら雑誌をめくっていた秀平の隣に移動する。
何気なく覗き込んだ雑誌に載ってた、シルバーのネックレスに目が行った。
「これ、かわいー。
いいなー、欲しいなー」
ハート型のトップには、ピンク色の石が埋め込まれてておしゃれ。
別にねだったわけじゃなくて、感想を言っただけだけど、
「…実果」
秀平に名前を呼ばれて少しドキッとした。
もしかしてプレゼントしてくれたりして…。
そんな調子のいいことを想像したとき、
「顔近いんだけど」
秀平は少し困ったように言った。
何だ、期待して損しちゃった。
でも当たり前。
秀平は私の彼氏でも何でもないんだから。
「ごめん、ごめん」
私は照れ笑いしながら10センチくらい秀平から距離を取ったものの、でもまだ気になって横から雑誌を覗いてしまう。
相変わらずタケルはゲームに夢中で、電子音が部屋の中に響いている。
「実果…」
秀平がまた私の名前を呼んだ。
今度はそんなに近付いてなかったのにな、なんて思いながらおもむろに秀平の顔を見上げた瞬間。
秀平が私にキスをした。
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