恋する手のひら
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次の日曜日はバスケ部の練習試合。
私たちの高校の体育館で行われるため、今日は久美子と沙耶も応援に来てくれていた。

私の定位置の二階席に並んで座ると、試合開始のホイッスルが鳴った。
かと思うと、開始直後から激しい点の取り合いになった。

「すごーいタケル、また点入れた」

隣で沙耶が手を叩きながら声を上げる。

確かに得点だけ見ればタケルがすごい。
だけど、その得点のほとんどは秀平の絶妙なパスが起点になっていた。

見ていて、秀平の動きがこの間までと全然違うことに気付く。

秀平はタケルみたいにガツガツ点を取るようなタイプじゃないけど、落ち着いて相手のミスを誘うようなトリッキーなプレー。

以前の秀平が戻ってきたみたいでワクワクする。

絶対今日は勝てる気がした。
だって、タケルと秀平の息が前みたいにぴったりだもん。


前半の終了間際、ゴール付近で相手のディフェンスとぶつかって秀平が倒される場面があった。

かなり激しく衝突したみたいで、秀平が立ち上がるまで少し時間がかかった。

結局相手側のファウルになって、フリースローをもらえたけど、それ以降秀平の動きが少しおかしい。
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