恋する手のひら
振り返ると、転がったはずのペットボトルを手にした秀平が呆れ顔で立っていた。
彼の顔を見てホッとする。
さっきまでの嫌な緊張感が消えていく。
「お前は昔からそうだ。
実果のことになると余裕がなくなりすぎる」
秀平がそう言ってペットボトルを投げると、タケルは不貞腐れた顔をしたままそれをキャッチした。
「いつまで繰り返すんだよ。
いい加減、成長しろよ」
ふと、秀平が溜め息混じりにつぶやいたセリフに違和感を覚えた。
『お前は昔からそうだ』
『いつまで繰り返すんだよ』
そんなの、最近一ヶ月くらいしか記憶のない人が言うセリフじゃない。
タケルのことをずっと前から知ってる人しか言えない。
そんなはずない。
だって秀平は事故で記憶をなくしてるんだから。
───でも。
最近の秀平は以前のプレースタイルに戻ってたし、タケルとの息も前みたいにぴったりだった。
嘘でしょ、秀平。
もしこの違和感が正しいなら…。
「───実果?」
黙り込んだ私に秀平が気付く。
私は半信半疑で彼を見つめ返した。
彼の顔を見てホッとする。
さっきまでの嫌な緊張感が消えていく。
「お前は昔からそうだ。
実果のことになると余裕がなくなりすぎる」
秀平がそう言ってペットボトルを投げると、タケルは不貞腐れた顔をしたままそれをキャッチした。
「いつまで繰り返すんだよ。
いい加減、成長しろよ」
ふと、秀平が溜め息混じりにつぶやいたセリフに違和感を覚えた。
『お前は昔からそうだ』
『いつまで繰り返すんだよ』
そんなの、最近一ヶ月くらいしか記憶のない人が言うセリフじゃない。
タケルのことをずっと前から知ってる人しか言えない。
そんなはずない。
だって秀平は事故で記憶をなくしてるんだから。
───でも。
最近の秀平は以前のプレースタイルに戻ってたし、タケルとの息も前みたいにぴったりだった。
嘘でしょ、秀平。
もしこの違和感が正しいなら…。
「───実果?」
黙り込んだ私に秀平が気付く。
私は半信半疑で彼を見つめ返した。