恋する手のひら
「実果、少し熱くない?」

急にタケルに顔を覗き込まれた。

「暑さにやられちゃったかも」

私は頬に手を当てながら答える。
だって外はこんなに暑いんだもん。

「大丈夫だよ。
そろそろ集合でしょ?」

私が笑って言うとタケルは少し心配そうに眉をひそめる。

「無理すんなよ」

タケルの言葉に笑ってしまう。
それは私のセリフだよ。

「試合、頑張ってね」

なんて。
笑顔で彼を送り出したものの、試合中も体調は悪くなる一方だった。

いつもは自分の高校がボールを取る度テンションが上がるのに、今日は座席に座り込んだままボールを目で追うのがやっと。

頭がボーッとして真っ直ぐ座っているのもしんどいくらいだった。
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