恋する手のひら
試合後はミーティングとかあるはずだから、本当なら邪魔したくないけど、今日は家までタケルに送ってもらった方がいいかもしれない。

そんなことを考えていると体育館から歓声が上がり、私はボーッとする意識の中でホールに視線を向ける。

しばらくするとたくさんの人がホールから流れ出す。

試合が終わったんだ。
どっちが勝ったんだろう。

多分ホールに戻れば、得点盤に両校の点数が表示されてるはずだけど、この人混みの中を逆流する気にはなれない。

私は、早くどこかに腰を下ろしたいな、なんて考えながら目を閉じた。


それからどれくらい経っただろう。
気付けば人の流れはすっかり引いていた。

黒を基調にした、見覚えのあるジャージ姿の子たちが目の前を通る。

うちの高校のバスケ部だ。
もう選手たちが出てくるくらい時間がたったのだと気付かされる。

置いてかれる前にタケルと連絡とらなきゃ。

慌ててバッグから携帯電話を取り出そうとして、私はうっかり落としてしまった。
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