恋する手のひら
「さっきの7番のプレイはさ、地味に見えてテクニックが必要なんだよ」
試合の端々で、サトシくんが解説してくれる。
ルールはタケルたちに何度も聞かされていたから知ってはいたけど、プレイする側のことは全く知らなかった。
どんなプレイが難易度が高いのか。
相手を翻弄させるのか。
今まではただ、何となく秀平のプレイに目を奪われていただけで考えたこともなかった。
そう言うと、サトシくんは隣でふぅん、と鼻を鳴らす。
「あの松浦ってやつ、センスあるよ。
かなり上手い」
サトシくんの目がタケルじゃなくて、秀平を追い始めたのに気付いた。
「俺がK大の監督だったら、もしかしたらタケルじゃなくて…」
そこまで言ってサトシくんは口をつぐみ、いたずらっ子の笑顔で私を見る。
「こんなこと言ったら、タケルに叱られるな」
そうだ。
タケルが推薦を取れば、秀平は取れないし。
秀平が取れば、タケルは取れない。
二人はチームメイトとして協力しながら、だけどライバルとして競ってる。
そんな当たり前のことに今さら気付いた。
試合の端々で、サトシくんが解説してくれる。
ルールはタケルたちに何度も聞かされていたから知ってはいたけど、プレイする側のことは全く知らなかった。
どんなプレイが難易度が高いのか。
相手を翻弄させるのか。
今まではただ、何となく秀平のプレイに目を奪われていただけで考えたこともなかった。
そう言うと、サトシくんは隣でふぅん、と鼻を鳴らす。
「あの松浦ってやつ、センスあるよ。
かなり上手い」
サトシくんの目がタケルじゃなくて、秀平を追い始めたのに気付いた。
「俺がK大の監督だったら、もしかしたらタケルじゃなくて…」
そこまで言ってサトシくんは口をつぐみ、いたずらっ子の笑顔で私を見る。
「こんなこと言ったら、タケルに叱られるな」
そうだ。
タケルが推薦を取れば、秀平は取れないし。
秀平が取れば、タケルは取れない。
二人はチームメイトとして協力しながら、だけどライバルとして競ってる。
そんな当たり前のことに今さら気付いた。