恋する手のひら
「───だけど、タケルは違う。
お前とのこれからに、これっぽっちも不安なんか感じてない」

いつかのタケルの言葉を思い出す。

俺たちは絶対上手くいく。
タケルは、そう言って私を安心させてくれたけど。
今目の前にいる秀平は、俺には実果とやっていく自信がない、そう言って私を拒絶する。

「お前はそういう奴といた方がきっといい」

二人の言葉が対照的すぎて切ない。

涙が頬を伝うけれど、私は何も言えない。
秀平のその拒絶が考えて考えた末に決めたことだと分かったから。

「お前のこと、好きだったよ」

また、涙がこぼれる。

ずっとずっと聞きたかった秀平の気持ち。
振られるときに聞かされるなんて、皮肉過ぎるよ。

「私も。
私も、秀平が好きだった」

「うん」

私の言葉に、秀平は困ったように頷く。
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