恋する手のひら
秀平の手が私の涙を拭う。
その手に触れたい。
格好悪くても縋り付きたい。

だけど、秀平の視線が私を静かに拒絶する。

「臆病でごめん。
俺のこと、恨んでいいから」

秀平はそれだけ言うと、私の頭にぽんと手を載せて、去って行く。

一人残された私は、崩れるように地面に座り込んでしまった。
拭ってくれる相手を失った涙は、留まることを知らずに流れる。

中学校から付き合ってる彼女がいると知ったときと、記憶をなくしてる間に元カノと寄りを戻してしまったときと、今日。

秀平に失恋するのはこれで三度目。

とうとう好きだと言ってもらえたのに、上手くやっていく自信がないと言われた今回が、一番辛くて一番切なかった。


ねぇ秀平。
私たち、本当にタイミングが悪かったね。

まるでボタンの掛け違えのように、どんどんちぐはぐになっていった。

もし初めからやり直せたら、違う未来があったのかな。


初めて、泣きすぎると涙は枯れるんだと知った。
それくらい私は泣いた。
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