恋する手のひら
「え───っ?!」

私は思わず叫んでしまう。

何それ!
全然知らなかった!!

「前に教えてあげたじゃん。
タケルって結構モテるって」

「告って振られた子、たくさんいるって。
あれ、私らも入ってるから」

沙耶も笑ってるから、本当なのか冗談なのか分からない。

「本当に?」

「こんな悪趣味な嘘つかないって。
私が告ったのは中二のときで、久美子はいつだっけ」

「私は中三。
卒業式の後、いいシチュエーションだったにも関わらず、秒殺」

「タケルの振り言葉、一部じゃ有名だったよね」

二人は顔を見合わせて笑う。

「「俺、実果しか好きじゃないから」」

二人の声がダブる。

私の顔が見る見る赤くなる。
タケルってば、何てこと言ってんの?

「当の実果が全く気付いてないもんだから、みんなタケルに同情しちゃってさ」

「そうそう。
振られた組はいつの間にかタケルの応援しちゃってんの」
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