恋する手のひら
そういえば、タケルの周りには私以外の女の子はいなかったけど。
あれはモテないんじゃなくて、気を利かせてたってこと?

「本当だったら妬まれそうなもんだけど、実果が奇跡的に鈍いから誰も憎めないの」

私は何も言えずに俯く。

全く気付いてなかった自分の鈍さに恥ずかしくて堪らない。

タケルの気持ちに気付いてなかったくらいだもん、周りの子の気持ちなんてもっと知らなかった。

「私、二人にも無神経なこといっぱいしちゃったよね…」

タケルと付き合うことになったとか、結局別れたとか。
タケルのことが好きな二人は、どんな気持ちで私の話を聞いてくれてたんだろう。

「何言ってるの、その鈍さが実果なんじゃん」

久美子は私の頭をポンと叩く。
なんか、フォローされたような、バカにされたような微妙な気分。

「あ、来たよ。
彼氏とペット」

沙耶が私の肩を叩いて笑う。

ペットって、タケルのこと?
この二人、本当にタケルのこと好きなのか若干疑問なんだけど。
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