恋する手のひら
「え…?」

「そのネックレス、実果の首にかけてやったのはタケルだろ?
俺が買ったものでも、あいつが実果に渡したものは嫌なんだ」

秀平はそう言って、目を逸らしたまま頭を掻く。

すっかり忘れてた。
受け取るのをずっと渋っていた私に、ネックレスを付けてくれたのはタケルだった。

もしかしたら、このストラップを付けてることで、タケルだけじゃなくて、秀平にも嫌な思いをさせてたのかもしれない。

自分の無神経さがつくづく嫌になる。

「───やっぱりお返しも兼ねて、私も何かプレゼントしたい」

私ばっかりもらうなんて悪いもん。

「本当に欲しいものないの?」

もう一度聞くと、秀平は黙ったまま、じっと私を見つめた。

何?
まさか顔にカルボナーラのソースを飛ばしてたりする?
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